2013年8月15日木曜日

掛川市Fベースさんの雑木の庭 植栽計画


Fベースさんの雑木の庭の植栽のポイントは、まずは、家際に高木を植えること。
それも、1階の窓だけでなく2階の窓の位置を確認しながら植え付けていきます。
1階からの景色はいいけど、2階からの景色は殺風景となりがちです。どの部屋にいても緑を感じられるように、2階からの枝葉が揺れるのを感じたり、小鳥が羽を休めにくるのを眺めたりもできるのです。

また、住環境を考える上でも役立ちます。
ウッドデッキをつくっても夏場はそのウッドデッキが直射日光を浴びて高温になってウッデッキにはでれません。家際に高木を植えることでデッキに木陰を落としてくれ、生活スペースが広がります。

また、ウッドデッキから生まれる照り返しや輻射熱が室内の熱環境に悪影響を及ぼします。家際に高木があることで木陰をつくりウッドデッキの熱を和らげてくれます。樹木がないと相当深い軒先が必要になると思います。(本来、ウッドデッキを提案するなら樹木もセットで提案すべきだと思います。)

今年は、植えたばかり枝葉の広がりも少しですが、2、3年すれば木陰に囲まれたウッドデッキになることでしょう。
ウッデッキにに映る木陰が風に揺れるのを眺めるのも心が落ち着きます。

こちらは、東側の雑木の庭。
限られた予算の中で、ウッドデッキ廻りを中心に植栽させて頂きました。
こちらも1階だけでなく2階の窓の位置を気にしながら配置し、1階の窓はどの角度からみても道路から植栽が重なるように目隠しできるように配置にしています。



そして、もう一つのポイントは樹木を寄せて植え付けること。
木立にして植える、高木層、中木層として階層的に組み合わせて競合させて上へ伸びさせる。また、樹木は幹肌と地面が暖まるのを嫌います。1本だけで植え付けると限られた影しか出来ません。寄せて植えることでお互いが陰をつくり守りあう。自然の森の環境のように植え付けることが大切なのです。1本で植えているから樹木は幹肌や地面に熱を当てないように枝葉を広げます。成長が早くなり、人間にとっては伸びる枝葉は邪魔に感じてしまいます。
たくさん植え付けることでたくさんの樹木を管理するのが大変だと思いがちですが、1本で植えるよりゆっくりと健康に育ってくれるので枝葉の剪定や病害虫の管理は返っては楽になるのです。

街路樹なんかは、厳しい熱環境の中に植えられて、その熱から守ろうと伸ばした枝葉は人間にとっては邪魔だからと勝手に無惨な姿に剪定されかわいそうな樹木です。


そして、根元を叩いて仕上げる。
叩くことで雑草が少しでも生えにくくなり、その土地にあったコケが付きやすくなります。足下がすっきりしていれば落ち葉の掃除も楽ですね。


緑は、ほとんどの人が「いいな。」と感じると思います。
でも、自分の家に緑が欲しいかどうかと考えた時、管理が大変そう、病害虫が発生したら嫌だ。として敬遠してしまう人が多いのではないでしょうか。
それは、土壌改良を含めて、配置計画など自然の環境のように植え付ければ管理も楽になり、本来の緑の良さが感じられるのだと思います。


Fベースさんの雑木の庭のツリバナマユミの実も赤く染まり始めました。
夏も終盤になり秋を感じさせてくれます。
ここの雑木の庭は日に日に変化し2年後、3年後、5年後と樹木1本としてでなく庭として成長してくれます。
庭の成長と共に心の成長、豊かさが増してくることでしょう。


高田造園さんから「庭をつくるというより、快適な住環境をつくるというのがこれからの雑木の庭では大切なコンセプトになる。」という教えを頂き、これからも更に勉強し、新築の家が出来ると緑が減るのではなく、家ができると緑豊かな環境が増えていくような外構、庭の提案を心掛けていきたいと思います。


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